とある週刊誌のトンデモ歯科記事への反論（院長　長崎）

JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。

＞とある週刊誌のトンデモ歯科記事への反論

 まあ、表紙に「女性器を舐めるとガンになる（え、そうなの？）」とデカデカと書いてあるような雑誌なのですけど(^_^;) 加藤鷹さんとかチョコボールさんとか、かなりリスク高いのか…どうすればいいんだ…

＞虫歯も歯周病も自然治癒できる。

言い切っちゃうのか… 初期虫歯なら私は殆どフッ化物とプラークコントロールにより進行停止を目指しますが「治癒」というと、実質欠損（穴の開いた虫歯）も穴が塞がるように聞こえるのですが…それは流石に無理では？

かなり予防歯科の本を読み込んでいますが、実質欠損（穴が空いた虫歯）に関しては、流石に削って詰め物するしか無いんじゃね？という意見が圧倒的です。

虫歯が黒く固くなり、経時的な観察でほぼ止まっていることが分かる場合には削らずにフッ素入りセメントを詰める方法を紹介している本もありますし、私も条件が良ければやりますが…

タービンで虫歯を削るとエナメル質表面にマイクロクラックという小さなヒビが無数に入り、詰め物をしてもそこから虫歯になるから削るなという主張をされておりますが「じゃあ、実質欠損（穴の開いた虫歯）に対してどのような治療をすればよいのか」という対案が記事内には書かれていません。

代案なしに文句だけ言われても…

確かに、詰め物が二次カリエスになる事はありますが、私の知る限りでは二次カリエスの原因は「歯を削ったことによって生じるマイクロクラック」ではなく、詰め物と歯の境目をゼロに出来ず、そもそも虫歯のリスクが上がってしまうことと「虫歯になったということは、元々その歯がセルフケア諸々の不備により虫歯のリスクが有る」ので、当然詰め物をした歯も虫歯のリスクはあるからです。

歯を削る事でマイクロクラックが発生するかも、そのマイクロクラックから再度虫歯になるかも、ということでしたが、色々調べても資料がありませんでした… どなたか、論文をご存じの方、教えて頂けると幸いです。

虫歯を削らず、ドックベストを詰めれば虫歯が治る？？？ 実は、6年程前30症例ほど試してみましたが、半分は1年後に痛みが出たり神経が死んでしまったので、やらなくなりました。 PubMedやグーグルスカラーで検索しても、論文無し…

また、記事に出ていた先生のクリニックから、ワコ歯科に流れてきた患者さんがいたのですが「縦に割れた歯が痛むから行ったら『ドックベストを塗り、砂糖を取らなければくっつく』と言われた」との事。割れたままでした…

「他の虫歯も『ドックベストセメントを塗れば治る』と言われたが、どうなっているか見てほしい」との事。見たら、単に初期虫歯がありました。塗ったはずのドックベストは何処へ？あんな脆いセメントを塗っただけでは、すぐ取れるよ…

そのような経緯があった事、論文や成書が見当たらないこと、歯科医師向けの高額なセミナーorDVDでしか使用法がレクチャーされていないことから、あまり信用できるものと思っていません。

そもそも「虫歯を削らず、ドックベストを詰めるだけで治る！」という謳い文句が本当なら、もっと流行ってますがな…簡単に儲かりますもの…

上手く行かないから、削って詰めるorフッ素＋プラークコントロールで進行抑制という昔ながらの方法をメインにしている先生が殆どなわけで…

著書を読むと「ドックスベスとが普及しないのは、普及すると削る名目が無くなって儲からなくなる歯医者の陰謀」的なことが書いてあってちょっと…

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