子供の虫歯を(なるべく)削らない理由(院長 長崎)平間 歯科 歯医者 予防歯科
JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
とある歯科衛生士さんから「勤務先では、毎日子供を押さえつけて虫歯を削るんです…私も毎日押さえつけてるんですが…心がすり減って…」というボヤキを聞く。 うーん、虫歯を削ること自体が悪ではないし、場合によっては押さえつけるのもアリだが…毎日?
最新の歯科疾患実態調査で、12歳児の虫歯の本数は0.2本です。大多数の子供にとって、虫歯はかなり稀な疾患になっているはずですが、毎日子供を押さえつけて削っているという歯科衛生士さんのボヤキに? もしかして「虫歯を削る基準」自体に問題があるのでは?
子供自身が「歯が痛い…治療してクレメンス…」と歯科医院を訪れることはまずありません。殆どは自覚症状のない段階で、学校歯科健診や保護者の仕上げ磨き時に虫歯、あるいは虫歯のなりかけを発見されて、連れてこられます。
虫歯がどの段階まで進んだら削るべきかというのは、一言ではいけない難しい問題です。日本保存歯科学会の「う蝕治療ガイドライン」でも、明確な結論を出していません。(P78、79の「切削の対象となるのはどの程度進行したう蝕か」)
http://www.hozon.or.jp/member/publication/guideline/file/guideline_2015.pdf
『毎日のように子供を押さえつけて虫歯を削っている』という先生が、どのような基準で虫歯を削ると判断しているのかはわかりませんが、平成28年度の歯科疾患実態調査(12歳時の虫歯、0.2本)を見る限りでは「削らなくてもいい初期虫歯を削っている」可能性が…
ワコ歯科では、子供の虫歯に対しては痛みがあれば、状況に応じて痛みを取る処置を行っています。 ただ、大半の「虫歯がある」として来院した子供は、初期虫歯で直ちに削る必要がないか、齲窩(虫歯の穴)があっても、痛みはない場合が殆どです。
子供の初期虫歯、或いは齲窩はあるが痛みは(まだ)ない段階であれば、いきなり削ることはしません。 まず唾液検査や染め出し等の検査、生活習慣、食生活の聞き取りを行い、虫歯のリスクを把握します。 その上で「なぜ虫歯になったのか」の教育を行います。
わからない部分や、反論諸々ありましたら、遠慮なくどうぞ。 答えられる範囲内で答えますm(_ _)m